茜雲 日航機御巣鷹山墜落事故遺族の30年 感想
東野圭吾さんの「秘密」を思い出す。
こんばんは、ガリレオです。
縁があって「茜雲 日航機御巣鷹山墜落事故遺族の30年」という本を読みました。
事故の概要につきましてはWikipediaのリンクを貼っておきます。
事故後30年が経ち、今までなんとかやってこれた、子供が亡くなった父親と同じ歳になった、家族を空から見守ってくれているなど前向きな文章が多かった反面、やはり傷が深く未だに立ち直れない方も多数いらっしゃるかと思います。
安全神話という言葉がありますが、本当は絶対に安全な乗り物って存在しないんだと思います。
会社が安全に関する色々な施策を考えて、それを各鉄道係員だったり、航空係員、車両や電気関係者、清掃員等が一致団結して守り続けることによって保たれているだけです。
誰かがルールを破ったり、手を抜いたり、間違えてしまうだけで安全というものは守られなくなってしまいます。
公共交通機関を利用し、帰らぬ人になってしまう。
こんなことはあってはならないことですね。
人の人生を事故によって終わらせてしまう。
また、この墜落事故で言えば犠牲者は520人でしたが、残された家族、恋人、友達等人生を変えられた、狂わされた方は更に多くいらっしゃいます。
鉄道や飛行機は人だけを運んでいるわけではなく、その人の人生や物語を共に運んでいます。
唐突に物語を終わらせたり、狂わせたりすることはとても悲しく、苦しいことです。
文集から少し引用させていただきます。
御巣鷹山事故で失ったものは一人ひとりの「小さな幸せ」です。
そして、私たちが失ってはいけないものは日常の中にあるこの「小さな幸せ」です。
小さな窓を開けたときに風や光があたりまえに感じることができることが平和であり安全です。
(中略)
そんな中だからこそ伝えたい。
あの日失った小さな幸せのことを。
「小さな幸せ」がつながって「大きな幸せ」になることを。
そして、そうした普通の生活が失われる社会にしてはいけないことを。
私は事故が発生した後の世代でこんな事故が過去に、約30年前に発生していたと言われてもなかなか実感ができません。
でも、実感ができないからといって学ばず、知ろうとしないのは違うと思っています。
過去から教訓や人の心を学び、過去を風化させない。
これから同じ事故を起こさない。
自分に意識付けができたら、自分の周りの人達に伝えていく。
そうすることで大切な命を、大切な物語を喪失する人を一人でも減らし、「小さな幸せ」のバトンを繋いでいく。
テクノロジーやインターネットの発達で心が貧しくなったと言われることが多くなりました。
しかし、そんな時代だからこそ、人の心の在り方を学んで「小さな幸せ」を皆で積み上げていけるようにしていきましょう。
「今を一生懸命に生きる」
これが一番大事なのかもしれません。