星の王子さま 感想
ワガママで、困らせ屋で、構ってちゃんなバラが可愛く見えたとき、大人になったなと感じた。
こんばんは、ガス灯点灯人です。
星の王子さまのオラクルカードをもらったので、改めて星の王子さまの感想を。
子供の頃読んだ記憶はあるのですが、懐かしい感じは全くなく、新しい発見ばかりでした。
全ての子供と、昔子供だった大人たちへ。
「星の王子さま」といえばフランス人の飛行士で小説家であるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの小説で、彼の代表作であり、1943年にアメリカで出版されました。
その後現在に到るまで、200以上の国と地域の言葉に翻訳され、世界中で総販売部数1億5千万冊を超えたロングベストセラーとなっています。(wikiより)
70年以上多くの国と地域で愛されており、訳者あとがきには「聖書の次によく読まれている本」とまで書かれています。(新潮文庫、河野万里子訳)
この本には大人になると忘れてしまう大切なことがたくさん書いてあります。
日々の生活に満足しつつも、何のために今の仕事をしているのか分からなくなったときに読むと特に刺さります。
いちばんたいせつなことは、目に見えない。
本当に大切なことはお金でも評価でもステータスでもなく、目に見えないものです。
人によっては違うかもしれませんが、一つは絆を結ぶこと。
そして、その他大勢に気に入られることよりもただ一つの自分にとっての愛を見つけること。
主人公の王子さまにとってのキツネが他の10万のキツネと違って特別なように、バラが他の10万のバラと違って特別なように、人は自分が時間をかけて好きになったもの、絆を結んだものを大切にしていかないといけません。
一人の星で威張り散らす王様や一人の星で賞賛を求める大物気取りになっていませんか?
本来誰のものでもないものを我が物顔で支配していませんか?
自己を満たすことに一生懸命になってもどこか寂しく本当の幸せは手に入れることはできません。
他人と絆を結び仲間をつくり、その他大勢ではないパートナーと愛を育む。
人を幸せにできない人は幸せになれませんし、人と絆を結べる人には友達や仲間がついてきます。
ガス灯に光を灯す点灯人は幸せか
王子さまが旅の中で出会う人の中で唯一王子さまが友達になれそうだと言っていた人がいます。
そう、小さな星でガス灯を点灯する仕事をしている人ですね。
王子さまが「どうしてガス灯を消したの?」と聞いても
「そういう指示なんだ」と作業を繰り返し続けます。
昔は朝になればガス灯を消して、夜になると灯す。昼は休む時間があったし、夜は眠る時間があった。
しかし、小さな星の自転が早くなり、とうとう1分で一周してしまうようになり、点灯人は1秒も休むことができなくなる。
それでも指示は変わらずひどい仕事と言いながら愚直にやり続ける。
いつでも休みたいという点灯人に対して王子さまが
「3歩で一周できる小さな星なんだから歩き続けて日の当たる所にいればずっと休めるよ」
とアドバイスをするも
点灯人は「自分は眠ることが一番好きだから」
と提案を受け取りません。
自分がなんのためにこの仕事をしているのか分からず、ただ指示に従い続ける。
労働条件が悪くなっても、指示が変わらなければ仕事を変えることもできずに、やりたくないひどい仕事に人生を支配されてしまう。
眠ることが一番好きでも点灯人はどうすれば寝ることができるか?という前向きな考えには至りません。
自分のためでなく、星を点灯させる、即ち他の人にとって価値のある仕事をできる人は素晴らしい人です。
しかし、環境の変化に対応することなく、昔のやり方で仕事をやり続けるのは辛いものです。
毎日決まった時間に満員の通勤電車に乗ることは幸せですか?
労働時間が終わっているのにだらだら残業することは幸せですか?
なんのためにしているのか分からない仕事に人生をかけて幸せですか?
あなたの一番好きなことはガス灯に光を灯すことですか?
現代のサラリーマンの心をえぐる王子さまとガス灯の点灯人との出会いと会話。
ほんとうにたいせつなことは目に見えず、心でないと見ることができません。
誰からも応援されず、褒められもせず、ただ指示に従い、過酷な労働に甘んじるのか。
自分がやりたいことをできる環境を整えるのか。
「星の王子さま」という作品は本当に70年以上前に書かれたとは思えないほど、現代への風刺が鋭く胸に刺さります。
自分にとっていちばんたいせつなことは何か。
人と絆を結ぶことなのか。
愛する人をつくることなのか。
それとも自分の使命を全うするのか。
人それぞれ、感じることも出す結論も違うと思いますが、考える手助けになればと思います。